三ツ峠山 2005//10/23

− 富士の冠雪を見てみたい −

昨日は(10月22日)茅ヶ岳に行く予定だった。

ところが4時過ぎに起きてみると土砂降りだった。

仕方ないので、だらたらと一日を過ごした。

昼過ぎ、ふと富士山のライブカメラを見ると、ガスはかかっているが、はっきりとした冠雪が見える。

初冠雪は1週間ほど前だったが、とっくに解けたと聞いていた。

夕べ来の悪天候で、また雪が降ったようだ。

どうしても富士の冠雪が見たくなった。

とすれば、三ツ峠山しかない。

とにかく河口湖駅に行かなければならない。

どうしても河口湖始発の8時50分のバスの便には乗りたい。

列車なら6時22分新宿発なら何とか間に合う。

4時に起床して、5時前に自宅を出発。

見上げると満天の星だ。

高松でもこんなに星が沢山見えるのは珍しいと思う。

「今日は期待出来るぞ」

新宿に6時前に着き、普通電車で、高尾、大月で乗り換えて、富士急線で河口湖に向かう。



大月を出ると直ぐに車窓から、輝くばかりの富士の姿が見えた。

余りにも天気がよいので、解けてしまわないか心配だ。

気ばかり焦ってしまう。

食い入るように富士の姿を見ていると、登山姿の他の客が不審そうな顔をする。

富士が見えて「それがどうしたの」と言う顔をして、おしゃべりに余念がない。

やがて、三つ峠駅に着く。

本来なら此処で降りて、表登山道を歩くべきだが、それでは3時間以上かかってしまう。

今日は、少しでも早く眺望ポイントに着きたい。

三ツ峠山は、「役の行者」が開いた山岳宗教の山であるとも言われていて、修験密教の山らしい。

駅には、登山道の途中にあるダルマ石のモチーフがある。

ここには「アーク」と大日如来を意味する梵字が書かれている。

「アーク」と言えばインディの失われたアークを思い出す。

何か関係があるのかな?

いつかこの登山道からも登ってみたい。



行く手の右にくっきりと三ツ峠山が見えている。

ここからだと五つ峠に見えてしまう。

富士吉田駅に着き、スイッチバックの切り替えをしている間、富士山が正面にでっかく見えている。

ここら辺に住んでいる人は、毎日富士山を眺めて生活しているんだなあ!



8時40分に河口湖駅に着く。

何か懐かしいなあ。

路線バスに乗り換えて登山口に向かう。

河口湖の向こうに、富士山が端正な姿を見せている。

バスガイドが「富士が綺麗」と言ったのに「美しい物を正面から見る事が出来ない」

彼独特の感受性から反対の山肌を見てしまう。

そこには、富士の美しさに負けない月見草が咲いていた。

「富士には月見草がよく似合う」の素晴らしい言葉は、この時詠まれた。

「おや,月見草.」
 そう言って,細い指でもって,路傍の一箇所をゆびさした.
さっと,バスは過ぎてゆき,私の目には,いま,ちらとひとめ見た黄金色の月見草の花ひとつ,
花弁もあざやかに消えず残った.
 三七七八米の富士の山と,立派に相対峙し,みじんもゆるがず,なんと言うのか,
金剛力草とでも言いたいくらい,けなげにすっくと立っていたあの月見草は,よかった.
『富士には,月見草がよく似合う.』(太宰治,富嶽百景)




満員の登山客を乗せたバスは、9時20分三つ峠登山口に着く。

しばらくは車道を歩く。

何人かは此処では降りず、この先の御坂峠から黒岳に向かうようだ。

御坂峠には「天下茶屋」があり、太宰治記念室があるそうだ。

これは、帰宅後知った。

井伏鱒二を訪ねて行ったのだが、富獄百景の中で、「風呂屋のペンキ絵」と評した。

これは彼独特の賞賛の言葉なのだろう。

未完ながらも「火の鳥」を執筆し、作家として大きなターニングポイントとなった場所のようだ。

天下茶屋の名は徳富蘆花が「天下一の富士の姿が見える茶屋」と紹介した事から有名となったそうだ。



しばらく行くとT字路となり、左に登山道が始まる。

多くの車が、道端に停めてある。



立派なトイレの横には、チェーンを履かせたジープが何台も停まっている。

ジープの集会でもあるのかなと思いながら、登山道を行くが、十分車の通れる広い林道となっている。



紅葉の美しい山頂を見上げると電波塔が見える。

あれは、御巣鷹山の頂上のようだ。

先ほどのジープが、あえぎながら追い越していく。

大きな三脚を抱えた、でっぷりした年輩の人達がしがみつきながら乗っている。

富士の撮影には行きたいが、登山は苦手の人達を運ぶサービスがあるようだ。

家内が手を振ると、苦笑いをしながら手を振り返した。



家内は、林道歩きが嫌いだ。

しかも岩が多い歩きにくい道だ。

私は、早く眺望の聞く場所に着きたくて、気が焦っている。

家内のペースに気を遣いながらもつい早足となる。

工事中の砂防ダムを過ぎると広い広場があり大勢が休憩している。

休まずに進み、先を行く人をドンドン追い越す。



やがて、四季楽園と三ッ峠山荘の分岐に来る。

少しでも早く富士を見たいために三ツ峠山荘に向かう。

すでに、朝焼けの富士を堪能してきた下山者に多く遭うようになる。

10時26分、最後の坂を駆け上がるように登ると、三ツ峠山荘の展望台に出る。

一気に目の前が広がり、でっかい富士が綺麗なすそ野を広げている。

冠雪も未だ解けずに美しく輝いている。



ため息が出るほど美しい。

家内と二人で、食い入るように見つめる。



大きな声がするので、見てみると三ツ峠山の岩盤に多くの人が取り付いている。

指導者が大きな声で指示している。

聞けば三ツ峠山は、ロッククライミングの練習場としてとても有名らしい。

山岳ガイドや登山ガイドの検定試験も行われるとか。

ガイドになるためにはこんな試験がいるの〜〜〜

公認ガイドを尊敬てしまう。



三ツ峠山荘の右を抜けると、広い広場に出る。

黒岳の向こうに南アルプスの山々がくっきりと見える。



一番手前の山は黒岳。

その後ろにちょこんととんがり帽子を魅せているのが、釈迦ヶ岳

奥の一番右に見えるのは、甲斐駒ヶ岳。

真ん中にとがっているのは北岳だろう。

鳳凰三山はその間に見えている山だと思う。

右下の町は甲府市街。



南アルプスの少し右には、八ヶ岳の姿も見える。

こうしてみると南アルプスのスケールは、八ヶ岳よりもかなり大きい。



峠には広場があり沢山のテントが設営されている。
ロッククライミングの様子を眺める家内。



よく見ていると、あっという間に登る人と、途中で進退窮まっている人もいる。

とにかく私の神経では、あの崖の上に立つ事さえ難しい。



四季楽園は、カメラマンや、クライマーの定宿として有名。



皆さんのレポートに出てくる有料テーブル。

ここから、ダルマ石経由で三ッ峠駅に降りる事が出来る。



一旦鞍部に降りて、三ツ峠山頂を目指す。

此処には、綺麗な水洗トイレがある。



富士見荘から急な登りとなる。



富士山の眺望ポイントが至る所にあり、カメラマンが三脚を構えている。

大きな霜柱



11字丁度山頂着。

頂上は余り広くないが、360度の眺望はピカイチ。

山中湖と三国峠方面から箱根の金時山まで遮る物がない。



西湖や本栖湖も見える。

ここからは河口湖は隠れて見えない。

甲斐駒の鋭い山容もくっきりと見える。

南アルプス、八ヶ岳連峰、奥秩父の山々とにかく全て見えている。





ナナカマドの紅葉が青空に映えている。



改めて富士を見る。

まさに「風呂屋のペンキ絵」

完璧すぎて、少し落ち着かないような気がする。



紅葉の向こうに富士山や、南アルプス。



十分に眺望を楽しんでから、御巣鷹山に向かう。

大きなナルコユリのような実



紛らわしい看板だが、此処を左に曲がっていく。

夏にはお花畑となるらしいが今は涸れ野原。






頂上は、電波塔だけで何にもない。

ここから本社ヶ丸、清八峠に降りる事が出来る。

御巣鷹山というと、JALの事故を思い出すが、この山ではない。

鷹狩りの鷹のヒナを手に入れる山として、この近辺には何十もの御巣鷹山があるらしい。



赤い模様をしたニョロちゃんとご対面。



電波塔の横の風が当たらない場所で昼食。



12時過ぎに下山開始。

少しゆっくりしすぎた。

ガイドブックでは、此処から下るのに4時間と書いてある。

それでは、ホリディ快速河口湖に間に合わない。

急に焦ってしまう。

三つ峠山荘に引き返し、木無山展望台に向かう。

此処も素晴らしい眺望ポイント。

大きな岩のテラスでノンビリ眺望を楽しんでいる人もいる。

名残惜しいが帰りを急ぐ、



素敵なカラマツの林が続く。



母の白滝との分岐。12時30分。



夏にはお花畑となる府戸尾根を下る。

関東に来てからオヤマボクチの寂しそうな姿にファンになってしまった。



厳しい下りで若いパーティと出会う。

もう疲れ果てている模様。

「頂上まで後どれくらいですか?」

泣きそうに聞いてくる。

30分くらいかなあ

と言うと、「後30分」と、みんなに言い合っている。



フジアザミの綿毛は手のひらに余るほど大きい。

ハグマ類の綿毛はピンク



箸蔵街道の天国への尾根道とそっくりの素敵な道が続く。



右は、オキナグサかと思ったが違うみたい。何だろう。



途中で電力鉄塔のある広場に出る。

13時26分。

此処も見晴らしがよい。

大勢が弁当を食べたり休憩している。



富士山の冠雪はかなり解けてきている。

可愛い雲が出ている。



霜山などのピークをいくつか登り返しながら下っていく。



ひたすら下っていく。

急ぎすぎて、左足の持病が出だした。

時間がないと思って家内はドンドン行く。

一旦車道に出て、湖畔への下山道もクリアして、ピークをトラバースしていくと最後の登り。

やっと天上山の頂上に着く。

14時22分。





富士急ハイランドが眼下に見える。



感動を与えてくれた霊峰富士の姿に見とれる。



14時30分、カチカチ山展望台に着く。



ここは童話カチカチ山のモデルになった所。



なんか太宰治と関係があるみたい。

帰ってから知ったのだが、太宰治はこの地で「火の鳥」を執筆し、「富獄百景」で新境地を開き

御伽草子「カチカチ山」で、彼の女性観を示している。

もとの童話「カチカチ山」は、子供に読んで聞かせるには少し残酷な所があるが、

太宰の御伽草子では「処女の乙女」の残酷さについて、彼なりの苦しさをよく表していると思う。

「惚れたが悪いか」は有名な言葉だ。

峠を下りてから彼は石原美智子と結婚をしている。



ここからガイドブックでは駅まで50分。

河口湖の素晴らしい景観を楽しむまもなく下山。



急な階段を駆け下りて、素敵な広場に出る。

紫陽花の沢山植わっている中を下る。



車道に出ると直ぐに河口湖駅がある。

15時5分。

電車には余裕で間に合った。

ビールとおつまみと、草餅などを買い込んで、ホリディ快速に乗り込む。

この列車は特急あずさを改良した車両なので、リクライニングのゆったりした車両で食事なども楽しめる。

新宿まで直通で、飲んで食べて居眠りして、18時4分に新宿に着いた。

眠ぼけ眼で、階段を下りようとしたら、膝が痛くて上がらず、

あっと思ったら、右足がつって、危うく階段を転げ落ちる所だった。

やはり無理をして急いだらいけないなあ。

でも、念願の青空に映える冠雪の富士を見る事が出来て、感激の一日だった。

  歩行距離約14q  累計標高差 +832m −1210m

   


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