高畑山〜倉岳山〜矢平山 2005/12/17

− 表道志のの稜線を辿る 東京近郊の里山、舐めたらあかん −

四国では、大荒れの天気らしい。

関東は、少し冷え込むものの良い天気との予報。

鷹巣山に行こうかとも思ったが、初めての山は、雪の状態が良く解らない。

今日は低山歩きをする事にする。

未だ行っていない中央線沿線の駅から登って、駅に下りるコースを探す。

前道志の高畑山から倉岳山へのコースが手頃に思える。

いつものように5時過ぎに出発。

上手く電車を乗り継いで、7時41分鳥沢駅に着く。



鳥沢駅は秋に扇山に登って以来だ。

駅前のパーマ屋さんの柿の木は、未だ大きな実がたわわに実っている。

この辺は、カラスやヒヨドリは居ないのだろうか?



7時50分に出発。

国道に出た所で、右に行く所を左に行ってしまった。

頭に描いていた地図は北が上。

今日は南へと登って行くため、頭がこんがらがってしまった。

国道を少し、引き返すように行くと小さな高畑山の看板がある。

鉄道のトンネルをくぐり、住宅地の中をぐるりと廻るように行くと、

T字路に出て右に行くと桂川にかかる虹吹橋を渡る。



やがて猿橋町小篠の集落の中を登って行く。この辺は、古くから峠越えの道として栄えたのだろう。

古いお地蔵さんが多い。



これから登る高畑山の稜線が目の前に続いている。

山の神神社で、今日の登山の無事をお祈りして進む。



集落がとぎれた所に車進入禁止の看板。

此処まですでに30分かかっている。

少し登ると小篠貯水池に着く。

紅葉の時は綺麗らしいが、今日は水量も少なく氷結している。



峠道文化の森の看板を越えて、暗い植林地帯を行くとやがて沢沿いの道となる。

オシノ沢に沿って上へ上へと続いている。沢を何度か渡り返す。

気持ちの良い緩やかな道を登って行く。



8時51分、石仏の分岐に着く。

小さな石仏があると聞いていたが、誰かが盗んでいったらしく石座だけが残っており、石が積んである。

罰当たりな人が居るものだ。

ここで、先行者に出会う。

この方とは今日一日、道を前後しながらお付き合いいただく事になる。

私達は高畑山から倉岳山まで行く予定だが、この方はその先の矢平山まで行く予定だとお聞きした。

ルートはここで高畑山への道と穴路峠への道に分かれる。コーヒーブレイクの後、右手・高畑山への道に入る。

9時3分出発。



此処からはジグザグのキツイ山道を行く事になる。

少し行くと明るく日差しが差すようになり、気持ちがよい。

振り返ると扇山が大きく見えている。

目の前にはこれから登る山が見えてくる。

この三角錐の山は倉岳山だろうか?



一旦ダラダラと下り、仙人小屋跡の標識から左へ行くと急坂が始まる。

ふと見ると、枯れた草に白い綿のようなものが着いている。

さわってみると氷のようだ。

これが噂に聞いていたシモバシラの氷華のようだ。

シモバシラはシソ科の植物で、茎が枯れても根から水分の吸い上げが続いており、

枯れた茎から水分がにじみ出して凍るとの事。

東京では赤塚の植物園が有名で、大勢の人が見学に行くらしい。

氷点下になって、雪が降る前の少しの期間しか見ることが出来ず、

自生のシモバシラの氷華は、滅多に見ることが出来ないと言う。

私達は勿論初めて見る。

所々に沢山有るが、殆どが登山道をはずれているので、写真を撮りに近づくのは、

この厳しい登りの最中では、一寸ためらわれる。



厳しい坂を時には手をつきながら登って行くと、目の前が開けて倉岳山の端正な姿が望まれる。

振り返ると扇山から、大月方面につながる山々、そしてその向こうに南アルプスが、雲を被って白く輝いている。



9時57分、高畑山到着。

2時間ほどかかっている。



982mの三角点。

大月市富獄12景の9番目の看板の前で記念撮影。



右下に鹿留山(シシトメ)、左手前に二十六夜山を従えて、端正な富士山の姿がそびえている。

先週行った石割山は、二十六夜山の向こう、御正体山の更に奥となる。

石割山から見た裾野を広げた富士山も美しいが、山々の向こうに見える姿もとても素晴らしい。

先行者の方と少しお話しをする。

この方は、三郷市から来られた大津さん。

この山域は良く歩かれているそうだ。

お聞きすると、ここから倉岳山までは1時間。

倉岳山から矢平山に縦走し、四方津駅まで4時間半だとの事。

大津さんが先に出発し、私達はコーヒーと行動食で一休み。



人気の山だと言うが、後一人の人が登ってきただけの静かな山頂。

ゆっくりと富士の姿を楽しむ。

10時19分出発。

直ぐに雛鶴峠の分岐がある。

かなりの急坂を下っていく。



急坂を下りると気持ちの良いなだらかな道となる。

気持ちいいなあ!



せっかく下った道を登り返すと、天神山に着く。

10時44分。

また急坂を下ると穴路峠。

10時49分。

ここは、朝登ってきた石仏経由で鳥沢駅に降りる道と、右へと秋川村に降りる道との分岐となっている。

昔は、村と村とを結ぶ重要な峠であったらしい。



このすべすべの木は何だろう?

何かの実が、黄金色に輝いている。

この辺で2組ほどのパーティとすれ違う。



倉岳山への登りは、さすが三角錐の山だけに厳しい。

踏ん張って登ると、肩のような所に出る。

ここから右へとなだらかな道を行くと、倉岳山山頂到着。

11時14分。



ここからも素晴らしい富士山が望まれる。

北には、扇山、百蔵山の稜線とその向こうに白く雪を被った奥秩父の山々が覗いている。

一際目立つのは雲取山だろうか。

それにしても山裾に広がる大きな団地と、ゴルフ場の多さには驚く。

ここから都心に働きに出ているのだろうか?



倉岳山990mの三角点。



頂上には、大津さんと女性が一人だけ。

女性は高畑山へと向かっていった。

大津さんが先に下山され、私達は少し早いが昼食にしてノンビリ過ごす。



11時34分下山する。

ここから矢平山を経由して四方津駅へは4時間半だそうだ。

そうすると4時過ぎになる。

予定はここから梁川駅へ下りるつもりであった。

今日は天気も良いし、満月だ。

少しキツイが矢平山に向かう事にする。

またまた急坂を下りていく。



平になったらまたピークといくつか繰り返していく。

右には、秋川村の向こうに赤鞍ヶ岳、秋川二十六夜山などが連なっている。

12時4分立野峠着。

ここからは1時間10分ほどで、梁川駅に下りる事が出来る。

真っ直ぐに次のピークへと向かう。



厳しい登りが続く中で、シモバシラの氷華が所々に見えけられる。

ここは、気温が低いせいか、氷華が帯状に発達していてとても美しい。

茎に綿クズのように着いているのとは全く次元の違う美しさだ。

このシモバシラを見ただけで今日の山歩きは大満足だ。

家内もその美しさに感激している。



突然見晴らしの良い所に出る。

単独行の女性が景色を見ながら食事をしている。

梁川から登って来て、矢平山経由四方津へと向かうらしい。

この方もシモバシラを初めて見たらしく感激していた。



秋山の村落の向こうには丹沢の山々も見えている。

その奥には横浜らしい町も霞んで見える。

祖谷の山を歩いているような懐かしい雰囲気を味わう。

振り返ると、富士の姿が此処からもくっきりと見える。

ここで、また昼食中の大津さんにお会いする。

何時も、この景色の良い暖かい南斜面で食事をされるそうだ。



また登り返すが、そろそろ足に疲労が溜まってきた。

細野山の三角点らしき所で小休止。

12時33分。

コウヤボウキの実が風にそよいでいる。



ここからは、落ち葉の厚く積もる滑りやすい急坂を下りる。

家内はこの様な坂が嫌いで急にペースダウンとなる。

油断するとズルッと滑って止まらなくなり、木に掴まる事となる。

此処で先ほどの女性にあっという間に追い抜かれる。

また登り返して、鳥屋山808mに着く。

何の変哲もないピークだ。



いくつも小さいけど踏ん張るピークを過ぎて、舟山への登りとなる。

ここはタフな登りだ。



やっと登り切ると、檜の植林帯に入り、正面に通行止めの看板。

左に広い樹木の間を下っていく。

道跡らしいものはないが、こちらが主尾根らしい。

ここで、また大津さんに追いつかれる。

「もしかしたら、下山は日没になるかも?」

げっ!

こりゃイカンと疲れた足にむち打って歩を早める。



13時38分、やっと寺下峠に到着。

ここで梁川駅に下りようか家内に相談すると、せっかく此処まで来たからと、直進する事にする。

木々の向こうに、矢平山がそびえている。



緩やかな道を少し行くと、丸ツヅク山への見上げるような急登だ。

踏ん張って登るとやがて左へと巻く。大津さんのザックが置いてある。

ここから丸ツヅク山に登られたようだ。

私達はそのまま矢平山に向かう。



やがて鞍部を過ぎて矢平山への登りとなる。

岩が覆い被さってくるような感じの道だ。

家内はしばらく躊躇していたが、決心して岩に取り付く。

岩はしっかりしているが、足場は狭く気が抜けない。

注意深く登るが、かなり腕の力が必要だ。

写真を撮る余裕はない。



大津さんが追いつかれたので先に登っていただく。

ロープやワイヤーが張ってあるが余り役には立たない。

岩場を登り切ると緩やかな尾根道となり矢平山に到着。

14時20分。

大津さんはスパイクの付いた長靴を履いている。

祖谷の、Mr.miyaさんの履いているのと同じような靴だ。

私も欲しいなあ...



なんとか日没までには下山出来そうだ。

でも油断出来ないので、痛み出した左膝に軟膏を塗り込み、コーヒーだけ飲んで直ぐに下山する。

14時30分。



また滑りながら下っていくと、右下に立派な林道が続いている。

14時55分大地峠に到着。

ところが二種類の看板が一緒にゆわい付けられていて、一方の看板では大地峠は今越してきたピークを示している。

どうも新と旧の大地峠があるようだ。



四方津に向けていくが、下りていくはずの道がドンドン登って行く。

突き当たりに看板があり、右に行くと大丸山高柄山と有る。

こんなことなら直進して、大丸山を経由してきても良かった。

ところが此処で工事中迂回路の標識。

またドンドン急坂を登る事になる。

なんのこっちゃ!!



迂回路のピークを下ると突然工事中の道にぶつかる。

これは、先ほど見た林道の延長工事中らしい。

何のための林道で、何処から何処へ抜けるのか知らないけれど、何故か腹が立つ。

此処からは、緩やかな綺麗な自然道となる。

やがて「御座敷の松」に着く。

武田信玄が金鉱開発の為この地に訪れた事に所以するらしい。



しばらく行くと、右に尖った山が見える。

この山は大岳山のようだ。

樹木の間から上野原の町並みが見える。



落ち葉が厚く積もって歩きやすい道だが、殆ど水平で、なかなか下って行かない。

道端に可愛い馬頭観音が祀られている。

と言っても頭上の馬は欠けている。

寛政6年と刻まれているので、ずいぶん昔からこの道を行く旅人を見守ってきたのだろう。



道を急いだ甲斐あって、16時8分民家の横に出る。



大きなケヤキの下で新しいお堂を造っている。

古くから眼の神様が祀られていたらしいが、お堂が古くなったので立て直しているとのこと。



安永7年(1778年)と刻まれた地蔵様がある。

四方津ニュータウンへと登るエスカレーター(コモアブリッジ)へ向かって歩く。



桂川に架かる川井橋を渡る。



16時33分下津駅に着き、雑貨屋で、つまみとワンカップを購入。

運良く臨時のホリディ快速河口湖がやってくる。

この臨時列車は旧の特急あずさを利用しているので、リクライニングシートで快適。

18時過ぎに新宿に着くが、年末の新宿駅は、人でごった返している。

今日は、中央線沿線の里山歩き、思ったよりハードであったが、充実した山歩きが出来た。

総歩行距離約20q、累計標高差約1700mは、今までで一番キツかったかも知れない。

そう言えば、大津さんとは矢平山でお先に失礼してからお会いしなかった。

18時に銀座で山の会の納会だと言っておられたが間に合ったのだろうか?





総歩行距離約19.7q

累計標高差 +1685m −1754m


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